thom browne の宴
... ディナーを振る舞う ...
立派な邸宅、石造りのカントリーハウス。
青みがかった夕暮れ時に、ヘッドライトの一筋の光が夕霧の中を突き通る。
タイヤがゆっくりと音を立てて砂利を進む ...
ゲストが到着する。
リムジンから出てきたのは、ウマ、シカ、ライオン、カバ、そしてブタ。
それぞれが、thom browne バッグを手に持ち、 お祭り騒ぎの宴の準備をする。
サイとゾウと一緒のキリンがゲストを出迎える。
後肢を伸ばし、たてがみがなびく。
ひづめが音を立て、夕暮れから柔らかなキャンドルの灯りの方へと進む。
壮大な階段を上がると、
動物たちは thom browne テーラードアイテムを着用している。
チェックやグレーフランネルやヘビーハンティングツイードなど様々に。
それからシャンパンのために応接間へ。
いななき声の会話、ブーブー声の逸話、雄叫びの返答。
見事にデザインされた人間のテーブルから注がれるシャンパン。
そして、いま宴が始まる。
動物たちが宴会場に集まり、
テーブルの先頭に立つキリン。
友よ、今宵は来てくれてありがとう。
みんなの唸り声や鳴き声を聞けるのはいつも嬉しい。
メインコースを振舞わせください。
キリンが中央に進む。
動物たちが器用に慎重に扱っている磨かれたナイフを
クラシックトムブラウンのスーツをまとった人間のケーキに差し込む。
砂糖をまぶした中身はレッド、ホワイト、そしてブルー。
おいしいご馳走ね、とサイがウマに言い、料理の喜びね、とライオンがカバに言う。
もう一切れいただいても誰も気にしない。
シャンパンが注がれ、夜も乱れていく。
騒がしいイベント、お祝いは狂気になり、動物達は解放される。
割れんばかりの拍手が起きる。
太陽が地平線からのぞき、パーティーは終わる。
朝の光の中、少しの眠気、騒ぎもの達は帰宅の途につく。
よろめいたり、つまづいたり、キリンが みんなに別れの挨拶をする。